魔がさしたんだと思う。終売と聞いてチェルシーを探しに行った(チェルシーはもうなかった)駄菓子屋で、ユニコーンのたまごという商品(120円)を買った。
パッケージの絵はかわいい。ユニコーンは卵生なのか。水につけると出てくるというのは、なんというか、卵が水に浸かることで発生をする種類のカエルみたいである。「イラストと商品のイメージは異なります」との文言を見てやめておけばいいのに、どのくらいどう違うのか見てみようと思ってしまった。
前にベタを飼っていた水槽のなかに、水とともにこの商品を入れておく。数時間ぐらいで殻が割れかけていたので、なかば無理やり出してみる。殻のボロボロさもアレだが、なんだ中のこのぬめぬめしたゼリーは。そしてなんなんだこのぶっとい曲がった前脚は。
いや、わかっていた。買って帰ってからユニコーンのたまごで検索していたから、こんな感じになることは少しはわかっていたけど。検索結果ではぬめぬめという情報は得ていなかった。とりあえずこの状態で1日そのままにしておいた。
1日経った。ぬめぬめしている。とりあえず歯ブラシでこすり、手洗いせっけんをつけて歯ブラシでこする。マシになったがまだぬめぬめしている。ユニコーンがぬめぬめすんなよ気持ち悪い。100円でもすてきな商品がたくさん見つかる世界で、120円払って、卵が割れるのを待ち、ぬめぬめした自称ユニコーンの醜い塊に触れる体験をする。これも人生か、俺の人生って一体……。写真を見せたら祖母は「かわいいがね」と言ったが、かわいいか?
1日経った。角が隠れるくらいまでの水に浸していたはずが角が水面から出ていたことから、少し大きくなったようだ。そしてまたぬめぬめしている。まだ大きくなるのかもしれないがこれ以上大きくなってもなんか嫌なので、水から出して昨日と同じように洗う。
さて、パッケージのイラストと中身の違いはわかった。わかったところで、パッケージの絵に似せて色を塗り直してみようかと思う。吉と出るか凶と出るか。
こうして
こうじゃ。
……。どうしようもない。何をやってるんだろう。塗らなくても塗っても結局だめなものはだめじゃないか。もうおしまいだ。見るたびに自分の選択ミスを思い気が滅入る。かといってすぐに捨てるのも何か違うように思い、それほど見ない棚に入れておくことにする。さよなら。