2020/2 旅行記1

祖母とイギリス・フランスのツアー旅行に参加した時の記録。

 

無事に帰れますように。

不安だ。
両替してトイレを済ませて荷物を預けて、親子丼を食べて、展望デッキをぐるりと1周見て、手荷物検査してパスポート顔チェックして、10時間のヘルシンキまでのフライト。クラシック音楽を聞いて寝たり、蜷川実花監督の人間失格を見たり、アングリーバードや数独などのくだらないゲームをしたりした。人間失格はただただ小栗旬がえろかったな。花男のイメージが強いのでこんなクズ男の役できるんだぁと思った。二階堂ふみさんかわいいね。メンヘラ役だからこわいけどね。監督の写真のイメージからまったくズレてなかった。色彩へのこだわり、構図とカメラワークと光の演出、小物の妥協のなさ(服の布地めっちゃ良!仕立て良!高そ〜〜〜!)、等々しっかり構想があって時間とお金をかけていて、よくできた映画だと思った。昼の牛肉デミグラスソースも軽食のパスタもまあまあおいしかった。膝の感覚がおかしくなったけどけっこう楽しめた。
手荷物検査で遅くなったあとに祖母があらぬ方向にスタスタ歩いていくのを引き止めて元の場所に戻るも迷子になってしまって、少し疲れる。ガイドさんを電話で呼び出して集合時間と場所にたどりつけてよかったが、SIMを差し込んだルータにiPhoneをつないでもまったくインターネットが使えず焦る。説明書とにらめっこしてやれることはやってみたが結局わからないのでホテルのフリーWiFiまで先延ばしになる。焦るし不安になるし非常に疲れた。まあWiFi使えなくて困るのはたぶん私だけだし、なくても写真さえ撮れればいっか......。のりのりのりかえ〜〜〜ってツイートしたかったな(旅先でまでツイートするなツイ廃)。
ヘルシンキの空港かっこよかったな。動く歩道の横に動物のドット絵あったし。
イギリスまでの便は隣に並んで座れるはずだったがなぜか祖母のチケットは引っかかって別々の席になる。まあ希望の席にならないこともあるって書いてあったしいっか。
離着陸はぐらぐらと機体が揺れて不安になる。死ぬ時はみんな一緒だぞと思う。イギリスに近づくと雨雲でカメラ映像が真っ白で、なんかもうこれは死んだあとの景色なのかな、この手にあるフォークも巻き付けているパスタもすごく現実感のある夢なのかな、などと思う。夕焼け空のグラデーションがきれいだ。
祖母はもう少しちゃんとアナウンスを聞いてほしい。周りをもうちょっと自分のこととして見てほしい。まあ今のところどうにかなってるからいいけど......。私だって至らないしね。
メモを書いていたら酔いそうだ。もうここまで。
と思ったけどなんかどんどん不安になっちゃって泣いちゃって苦しくてしんどくなって、紅茶をもらって飲む。あたたかい紅茶を飲めばきっと大丈夫になるよ。大丈夫だよ。でも頭痛いや。気を確かにしなくちゃ。絶対元気に帰るんだよ。


非常口のすぐ近くにせっかく座っているのだし今すぐそこのレバーを引いてドアを開けてこの身を空に放ってしまえ、"Open"and releaseしてくれと思ったところでどうにかそっちへ考えるのをやめようとする。そうだ、この非常ドアを実物大くらいに描いたらいいんじゃないか、レバーとOPENの文字と矢印を特に描きこんだ絵を描いたらいいんじゃないかと思う。作品名は『とびら開けて』でどう?結局私が考えつく私にできることは絵で、なんでこんなふうに絵のために生に執着するのかよく分からない。
やっぱりさ、鬱なのにさ、旅に出たりしたらだめなんだって。ねえ。
疲れて不安になったらすぐに泣いてしまう。泣いて何か楽になるなら、スッキリして落ち着くならいいけど、泣きそうになる時泣いてる時は苦しいしつらい。こんなすぐに不安で泣くの嫌だよ。