神戸紀行その1

李禹煥を神戸まで見に行こうか行くまいか悩んでいた。するとタイミングよく、神戸にいる友人がどこか行こうと誘ってくれ、泊まってもいいと言うので、お言葉に甘えて、美術館に行ったのち少し神戸観光をすることにした。ここからは振り返り。

私にしては早起きをして、在来線でゆっくり灘駅まで行く。乗り換えをちょっと間違えたがまあそんなこともあるさ。灘駅を出ると道のまっすぐ先に目的地がもう見えている。

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ミュージアムロードとやらを通ってまっすぐ行く。

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カメレオンみたいなやつがお出迎え。と思っていたが今調べるとフロレンティン・ホフマンの美かえる(愛称)、らしい。かえるなんかい。

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来たぜ、という気分になる。

リュックと外套をコインロッカーに入れてさあ展示を見るぞと思ったら、無料音声ガイドはQRコードから聞く方式らしく、モバイルルータもイヤホンもロッカーの中に置いてきたことを後悔する。音漏れしなければいいということなので、iPhoneを耳に当てて聴く。平日は写真撮影OKらしい。

蛍光色の作品を通り過ぎる。

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鉄板に石。

鉄板と木材を通り過ぎる。

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鉄板に綿。綿も使うとは知らなかった。もこもこしていて良い。

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なんで言えばいいかわからんがこの展示室の一室の作品はいいなと思った。実際の石の影とは逆側に、影の輪郭が描かれている。

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鉄板ではなく白いキャンバスと石。白いキャンバスっていいよね。

ル・コルビュジエの建物に対抗して作ったという石の集まりのやつは、触ってはいけないが歩いてもいいということらしい。ひととおり歩き回る。音声ガイドと扉を開けてくれる人が言うように、たしかにがたがたする。しかしガラス張りのなかに移された石たちがはじめは何に対抗していたのかは、ル・コルビュジエの建物なしにはよくわからないように思い、そんなに感動せず。

鉄板の切り取った側を壁に貼って、切り取られた側の鉄板の上に石があるやつがおもしろいと思った(あとでポストカード買った)。石と曲げられた金属棒、石とちょっとだけ曲げられた鉄板を通り過ぎる。

作品を見て音声ガイドの方を(やや義務的に)聞いて、とやっているとどちらにも集中できていない気がし、音声ガイドの言っていることについてはふーんというぐらいの気持ちがし、ややモヤモヤする。そんなこんなしていたら誤ってブラウザを閉じてしまい、音声ガイドを聞けなくなってしまう。音声ガイドを聞かなきゃというところに振り回されていたようにも思って、もう聞けないということを受け入れるとなんだか気楽になれ、作品に集中できそうに思った。

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美術の教科書にあったやつやん。緊張感いいっすね。
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いいっすねぇ。
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これはなんとなく魚の群れのように思えた。
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これもいいっすね。

写真を撮りつつ、他の鑑賞者の迷惑にならなさそうなタイミングをはからなきゃとか、写真バシャバシャ撮るとマナー違反になるんかなとか、気にしつつ。

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これは炭がごろごろ置いてあるみたいだと思った。

最後のところのはあまり写真に撮る気がせずショップのところに出る。ショップの商品を一通り見るが、炭(炭じゃない)の横にあった絵が気になって、やっぱり写真に撮っておきたいと思って、戻る。監視の人に怪しまれ半券を見せるよう求められる。見せたら行かせてもらえた。行っていいのか?とも思ったけどいいならいいか。

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余白が左右対称じゃないのがなんとなく惹かれた。

ショップでは、ポストカードと、悩んだ末に高いハンカチを買う。

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屋外展示のやつ。写真には映っていないが階段の下には丸い鏡(磨き上げられたステンレスらしい)があり、その少し上で垂れ下がった糸の先が風に揺られている。糸が鏡に接しているわけじゃないんかいと思う。

コレクション展も見た。二階は、小磯良平の斉唱をじっと見てみる。篆書のなかにいい感じにデフォルメされててかわいいのがあっていいなと思う。篆書っていいっすね。それにしても飾ってある書はみんなどれも字うめえな(当たり前か)。写真は撮ってよかったはずだが、なんとなく写真を撮りにくく思って撮らなかった。一階の作品は、これといって心に残らず。新たな作品収蔵のためにと1億670万円の遺贈をした人への感謝が述べられた板を読んで、その金額と篤志に動揺し、順路を誤解してうろうろしたら監視の人に正された。

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今回の神戸行きは兄に話してあり、青リンゴの写真を撮って送るように言われていたので撮って送る。兄は美術館や館の付く類を好まないが、自転車旅の目的地のひとつとして兵庫県立美術館に来たことがあり、その際に青リンゴを撮ったらしい。青リンゴはでかいらしいから、さっさと見つかるものかと思っていたら、分かりにくい案内に沿って歩かねばならなかった。コレクション展の時から思っていたが、この美術館、順路の案内が分かりにくい。

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ともかくも青リンゴ。サミュエル・ウルマンという人の、青春という詩をもとに、シンボルとして作ったということかな。この詩の意味でいけば俺の青春は終わった。俺の見た目は良くない意味で幼くて、俺の心はもう若くないんだ。

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パノラマを撮っておく。

兵庫県立美術館 青リンゴ」で検索してヒットした記事兵庫県立美術館の巨大な青りんご。その意味とは | これからの住宅・建築MAPs|専門誌が届けるデザイン&技術の実用サイトには、「ガラスと鉄骨に囲まれた無機質な通路をわくわくしながら進むと」とある。私としては無駄に歩かされたと感じたわけだが、それはおそらく私が安藤忠雄建築を知識もなく訳もなくディスりたがっているせいだろう。

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案内に4階デッキと書いてあるしなんか階段あるし登ってみるかと思って、やや期待して登ってみたら、ベンチがあるだけの虚無スペースだったのは解せぬ。絶対ここ無駄じゃない?それともこういう無駄にこそ豊かさがあるのか?

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像を撮るだけ撮っておく。

目的は達成した。普段は聞かない音声ガイドと写真の撮り方とで悩んで疲れたが、展示内容はまあまあよかったんじゃないだろうか。展示にうまく集中できてなかったとしても、雑念はどうしても入るものだし、完全なコンディションで見られないのはしかたない。次に行こう。

続きはまた書く。